有名な巨大スーパーマーケットが、新鮮な魚を毎日仕入れ、
ていねいにパックして冷凍ケースに並べ、堂々と「鮮魚」とうたっていた。
このメッセージは的を射ている。魚好きの人は鮮魚にこだわるからだ。
大量の鮮魚の仕入れに力を入れるスーパーマーケットはそうたくさんないから、
効果的なUSPだと言える。
しかもこの適切なメッセージをふさわしいターゲットに発信していた。
ほとんどが高所得者で、鮮魚を買う経済的余裕も、
それを使って料理しようという気持ちにも時間にも余裕のある人たちだ。
にもかかわらず、何かがうまくいっていなかった。
問題は見せ方だった。
あるお客が、「生の鮮魚があるといいのに」と言った。
漁港の魚市場で、氷の上に並べて売られているような魚のことだ。
そこで、従業員は、毎日到着する鮮魚を仕分けて、
同じ魚を二通りの方法で店頭に並べることにした。
ひとつは、いままでどおり処理してきちんとパックした魚。
もうひとつは、パックせずに氷の上に並べ、
「新鮮な魚市場」という看板も掲げた。
するとなんと、魚の売り上げが倍増したのだ。
この例は、うまく伝えることがいかに難しいかをしっかりと認識させてくれる。