人間性の中で、特にPR上効果につながりやすいのは、
「商品やサービスにまつまる企業のV字回復ストーリー」です。
個人でも「苦労から這い上がって第一線で活躍する物語」は同じ効果があります。
一度どん底を見たけれど、起死回生した。
テレビ番組で言えば、「情熱大陸」(TBS)や「ガイアの夜明け」(テレビ東京)、
「プロフェッショナル」(NHK)、少し古いですが、
「プロジェクトX」(NHK)などに出てくるようなストーリーです。
これら番組が支持されているのは、
経営者や商品開発者などの「人間性」にスポットをあてているからです。
私たちは、「感動したい」「共感したい」という思いをどこかで抱いています。
V字回復ストーリーは、それを最も揺さぶるのです。
2008年頃ベストセラーになり、その後、映画化された
『奇跡のリンゴー「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』
(石川拓治著、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班監修、幻冬舎、2008年)
もそうです。
この本の主人公であるリンゴ農家の木村秋則さんは、
農薬散布を重ねるうちに体を蝕まれてしまった妻のために、
無農薬のリンゴ栽培に挑戦します。
しかし、なかなかうまくいかず、リンゴが1個も取れないまま、
気づけば10年。
借金がかさんで自殺まで考えましたが、
死に場所に選んだ山の中で、あるヒントを得て、
ようやく無農薬リンゴー奇跡のリンゴをたくさん実らせることができたのです。
「今まで、リンゴの葉の部分しか見ていなかった。
根の部分、見えない部分にこそ答えがあった」
というくだりは、まるで人生論のように読む者の心を引きつけます。
こうして、かいつまんでお話しするだけでも、
どん底からのV字回復ストーリーは、
人の心を揺さぶるポイントがたくさんあります。これが「人間性」です。
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